毎日がブエノスディアス!

~PaPiTaMuSiCaのブログ~

追悼:オスバルド・ファトル-ソ その1

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URUGUAY ウルグアイ

とてもとても悲しい訃報でした。

2012年7月29日

ウルグアイ屈指の鬼才名ドラマーであり、兄ウーゴ・ファトルーソ Hugo Fattorusoと60年代に伝説のバンド「ロス・シェイカーズ Los Shakers」を結成、絶大なる人気を博した後、米国に移住しフュージョン・ジャズバンド「オーパ Opa」で不動の人気を誇り、現在に至るまで南米を代表する名ドラマーとして活躍してきたオスバルド・ファトルーソ Osvaldo Fattorusoががんのため64歳の生涯を閉じました。

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オスバルド・ファトルーソ Osvaldo Fattoruso @ Urubana Latina, NAGOYA en 2008.

詳細については私の相方パンチートのブログCafe de Panchito「オスバルド・ファトルーソ追悼」、世界の音楽雑誌「ラティーLATINA」のニューストピック「ウルグアイの名ドラマー、オスバルド・ファトルーソが逝去」が詳しいのでそちらをご参照頂くとして、ここでは私見のオスバルド追悼・追想を書きたいと思います。

今年発売されたオスバルドの遺作となった参加アルバム「Fatto-Maza-Fatto ファト・マサ・ファト」はウーゴとオスバルド、2人のファトルーソと二人の古くからの朋友であるベーシスト、ダニエル・マサ Daniel Mazaの3人名義での初アルバムです。

私はアルゼンチンに暮らし始めた1990年代後半からウーゴを中心とするウルグアイ音楽シーンに注目し続けていますが、普段地元でウーゴ兄弟が演奏活動する時=アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスや地元ウルグアイの首都モンテビデオでライブを行う際は、ほぼ間違いなくこのアルバムの演目のような、アルゼンチン~ウルグアイ~ブラジル音楽周遊的なカバーとオリジナル曲からの演奏でした。

ですから、このアルバムを初めて聞いた時の印象は「まさかいまさら・・・、でも考えてみれば出されてなかった超定番な彼らの音楽」というものでした。

ウルグアイ最強・鉄壁の名フュージョン奏者3人組。

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Amazon.co.jpでmp3、CD量販店でCD有り。

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2012年6月発売のラティーナ7月号レビュー

ヤヒロとの「ドス・オリエンタレス」で今夏も来日のウーゴ・ファトルーソが超絶ドラマー実弟オスバルド、ウルグアイ出身ブエノスで活躍の名ベーシスト、ダニエル・マサの古仲間トリオで発表した本作は、オリジナルがウーゴの1.4.8、マサの2.7、オスバルドとマサの共作9.で、他に来日時に度々披露するM.ナシメントの5.やウルグアイの古典でミロンガ・カンドンベの名曲9.とこのトリオでの18番ボサノバの名曲3がバランス良く配される。ウルグアイ人ピアニスト・作曲家M.グアルディアの表題曲6.は「東のタンゴ=ウルグアイ東方共和国のタンゴ」を意味するが、アルバム全体に基本的に全くタンゴ色がないのは意図的か?いずれにせよ普段地元で彼らが得意にする演目をDNAに染み込んだリズムと鍛錬された演奏で無理なく自然体に叩きだす躍動感が実に心地良い一枚。太っちょマサのめちゃグルービーなブリブリベースにも注目。谷本雅世

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90年代後半のウーゴは長い海外生活から帰国しウルグアイで再活動し始めた頃。

トリオ・ファトルーソでの活動はふだん米国に暮らすウーゴの息子フランシスコがウルグアイに帰省した時のみ限定であり、ふだんのファトルーソ兄弟の演奏活動ではほとんどマサがベースを弾いていました。

ウルグアイは小国でこの国だけでは音楽家は食べていけないので、活動拠点は大抵アルゼンチン&ウルグアイ両方の市場をまたにかけることになります。

ウーゴはウルグアイ・ロックのスーパースターやアルゼンチン・フュージョン界の彗星らのサポート演奏をオスバルドやマサ他若い才能ある演奏家たちと共にサポートしつつ、あふれる才能・新たなプロジェクト実現に向け、コツコツとウルグアイ―アルゼンチンでの活動再開をスタートさせていた時期です。

2008年トリオ・ファトルーソでの初来日時より体調が万全ではない、と聞いていたオスバルドですが、私たちはぜひ再来日してほしくて心配しておりました。今年6月、あるアルゼンチン人SSWのUPしたfacebookの写真でみたオスバルドの近影がとてもやつれていた事に相方ともども愕然とし、私たちは状況が良くない事を悟りました。

毎年来日前に新しい音源を精力的に作り出していたウーゴですが、今年来日記念音源はありません。

遺作となったこの白いアルバム、ウーゴとマサそして関係者からオスバルドへの想いが詰まった作品だったことを訃報を聞いたのちに感じました。

ふだんから余計な言葉は一切発しない無口さ、ひょうひょうと何食わぬ表情で超絶技巧な演奏をくりひろげるオスバルドの名演を堪能し、ご冥福をお祈りしたいと思います。

弊ブログ参考記事:

・トリオ・ファトルーソ&ドス・オリエンタレス紹介媒体 2008/10/11

・来た~!夏の来日スケジュール♪ 2008/05/05

・【ライブ・スケジュール】ウルグアイの天才ウーゴと日本の奇才ヤヒロのセッション! 2007/10/10

(↑ここでの表記はJorgeとなっていますが、本名はJorge Osvaldo Fattorusoであるため間違いではありません)

私見はその2に続きます。

Fatto-Maza-Fatto / Un Samba para Tobias

Fatto-Maza-Fatto / A morte de un Deus de sal

vivo en Mercedes, Uruguay.

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