毎日がブエノスディアス!

~PaPiTaMuSiCaのブログ~

Cafe Dufi カフェ・ドゥフィさんの想い出(その1)

まったくツテのない名古屋に暮らし始め、3ヶ月が経った2005年6月、愛知県では『愛・地球博』が開催され、ウルグアイ映画「ウィスキー」が公開中でした。
その頃ウルグアイ&アルゼンチン・フェア」を行っているカフェがあると知って地図を頼りに行ったのがカフェ・ドゥフィ。
バックパッカーで海外を旅された経験をもつ水野さん夫妻が蔵を改修された店内は天井が高く異国情緒がたっぷりで、店名のとおり欧風やフレンチ風の洒落た料理と聴きなれたサルサやアルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ、ブラジル音楽などBGMからもこだわりが感じられました。尋ねてみると、水野さんご夫妻はスペイン語を少し話され音楽にも造詣が深かったです。

それから今日まで約15年。PaPiTaMuSiCaではたくさんの南米関連のイベントやミュージシャンたちをカフェ・ドゥフィで受け入れて頂きました。コンサート、ワークショップ、映画のイベント、勉強会など。食事やお茶を楽しんだり、コンサートやイベントの打上げを実施したり。美味でお手軽、ボリュームたっぷりが魅力でした。

世界三大茶の1つで主に南米で飲まれる『マテ茶』をマテ壺と金属ストローで本場式に楽しむイベントを初めて実施したのもカフェ・ドゥフィさんです。おおぜいの方々が「マテ茶とアルゼンチン音楽を楽しむ会」に参加してくださいました。当方の持つ現地レシピからアルゼンチンの「アルファホール」というお菓子や軽食「エンパナーダ」も工夫して作っていただきました。当時名古屋では誰も出されておらず珍しかったです。

いろんな事を相談しながらいつも懐深く寛大に協力と応援してくれる存在で、アルバイトやスタッフの方々も顔を覚えてくれ、かゆいところに手が届くような絶妙さで有難かったです。

3月末に閉店されると知って、きもちの整理がつかないですが、とりあえずカフェ・ドゥフィで撮影した写真をアーカイブから探しここに掲載していきます。膨大な数撮らせて頂き整理が追い付かずすみません。


Todas las fotos por Masayo Tanimoto / PaPiTaMuSiCa.
photos : ©Masayo Tanimoto / PaPiTaMuSiCa

 

 

2010年3月アグスティン・ペレイラ・ルセーナ(アルゼンチン)初来日名古屋公演
ゲスト:松田美緒、ゼジ
別途ギターワークショップも開催(一般の参加者が多数写っておりUPしません)

Agustin Pereyra Lucena gira en Japón en el marzo del 2010.
Musicos invitados : Mio Matsuda y Zezihno.

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アグスティンは私たちPaPiTaMuSiCa(谷本&西村)が初めて個人で招へいツアーを企画したアルゼンチン人でありながら、ブラジル音楽であるボサノヴァバーデンパウエルを追求するギタリストでした。日本でナナ・ヴァスコンセロスとのレコード以外、ほぼ全てのアルバムがCD化され人気は不動に近かったのに来日が実現せず、彼に近しいプロモーターやレーベルへ打診するもいたずらに時間が過ぎるばかりで実現せず。だったら彼に直接交渉して私たちの招へいでも良いか?確認しようと谷本が2009年アルゼンチンを訪問し彼の自宅を訪ね、快諾を得て実現したツアーでした。

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 本当は歌手/フルート奏者のアドリアナ・リオスとのデュオかアレハンドロ・サントスを迎えたトリオが希望でしたが予算の都合でソロ来日して頂き、日本でポルトガル語スペイン語両方の言語に長け、情感たっぷりに歌う地球規模の歌手・松田美緒さんをゲストに迎えた初来日ツアーを実現しました。名古屋では音響も手伝って下さったブラジル音楽の名店だったサンバタウンのゼジさんとの貴重なステージも実現しました。

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お二人の笑顔の掛け合いがとても微笑ましかった瞬間。

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西村秀人『アグスティン・ペレイラ・ルセーナ来日こぼれ話』01~05
もよろしければぜひ。

 

 

 

Sólo concierto de Carlos Aguirre el primera gira en Japón en el 10 de octubre y la conferencia de la música popular argentina y fkolklore por la Universidad de Nagoya en el 11de octubre del 2010.
Dialogo entre Hideto Nishimura y Carlos Aguirre.

カルロス・アギーレ初来日ツアー名古屋公演(2010.10.10.)と名古屋大学主催「カルロス・アギーレ講演会(アルゼンチン音楽の国際性と地域性)」聞き手:西村秀人(2010.10.11)

2010年はまた、カルロス・アギーレが初来日ツアーを行い名古屋ではコンサートと唯一講演会を行いました。

アギーレとPaPiTaMuSiCaの関係については後半に書きますが、来日の話が持ち上がる前に、じつはアギーレ本人からクレーマ CREMA 日本盤についての相談を受けていました。

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アグスティンに来日ツアーの確約を取り付けた2009年アルゼンチン訪問ではアカ・セカ・トリオのブエノスアイレスNotorius公演も聞きに行き、たまたまパラナーに住むカルロス・アギーレがゲスト出演し、既にアギーレ・グルーポの音楽や彼の存在を知っていた私は緊張でドキドキしながら彼に挨拶しました。それが彼が日本人に遭った最初で、その翌年10月初来日ツアーが実施され、名古屋では唯一コンサートと翌日講演会をカフェ・ドゥフィで実施し、東海地方はもとより遠方からも多数の予約がありました。

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当時はアルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレが日本でも聞かれ始めていたけれど認知度がまだ低く、パラナー出身の詩人フアン・L・オルティスやルス・デ・アグア(セバスティアン・マッキのバンド)とアギーレの接点などもほとんど言及されていませんでした。そんな中、ペルー=チリ=ブラジルへのアプローチ経験があり、アルゼンチンの首都ではない地方都市に暮らし、手の込んだ手工芸品的な音楽アルバムを生み出すレーベルの主宰者であり音楽家であるカルロス・アギーレ本人から、直接話を聴けるというイベントはとても画期的だったと言えましょう。

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参考:西村秀人『カルロス・アギーレ来日直前インタビュー Entrevista de Carlos Aguirre(2010.07.19)』『カルロス・アギーレ講演会(名古屋、2010年)の講演録

 

 

ちなみにPaPiTaMuSiCaとゆかりの深いアカ・セカ・トリオについても少し書きます。
メンバーのティキことマリアノ・カンテーロが2006年のリリアナ・エレーロ初来日ツアーの帯同メンバーだった時、私たちはサポートで行動を共にしました。その際アカ・セカ・トリオ2nd.アルバム「Avenido」をティキからプレゼントされ、その素晴らしさに毎日聞き続けるほど魅了され『これはぜひ日本盤を!』と実現に向け奔走、歌詞大意訳と解説も行いました。

リリアナがツアー中、国際電話でパラナーのアギーレ、チャコのコキ・オルティス、首都在住のフアン・ファルーなどに逐一連絡を取っていたので、アギーレは間接的に私の事を、私もアギーレの事を知っていました。当時は2003年頃から続くアルゼンチン音響派の人気が主流で、2006年はフェルナンド・カブサッキサンティアゴバスケス、アレハンドロ・フラノフと来日しROVO、UAら日本の音楽家たちと共演を繰り広げた年でもありました。

PaPiTaMuSiCa谷本がアルゼンチン訪問を終えた2009年末、東京で久々に会ったバンドネオン奏者から「アギーレの音楽とても良いですよね?招へい出来ないですかねぇ?」と言われたり、「バー・ブエノスアイレス」が発足した直後で、フライヤーを東京の某所で偶然入手し、アグスティンのアルバム・ジャケットやアギーレ主宰レーベルのイラストが配されていた事に『同じタイミングで同傾向の音楽に惹かれる人たちがいるんだ』とふしぎな一体感を覚えたものです。

そして今日までアギーレとPaPiTaMuSiCaの友情は続いています。

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